総括質疑
🏛 総括質疑
富山委員 主な質疑と答弁まとめ(詳細解説)
※このページは議会報告に掲載される「富山委員 質疑内容の詳細説明」へのリンク先です。 教育・福祉・基盤整備の観点から、インクルーシブな社会づくりに向けた議論内容をまとめています。
■ インクルーシブ教育の推進と分離教育の課題
問:
千代田区では、全ての子どもが障害や国籍、性別、経済状況などに関係なく共に学ぶ「インクルーシブ教育」を推進しています。 その推進委員会ではどのような議論や課題が検討されているか、また現在の教育現場で目指すべき理想像について伺いました。 さらに、一人一人のニーズに合った教育環境を整える一方で、結果的に「分離教育」が進んでしまっている現状をどう認識しているかも問いました。
答弁:
推進委員会は令和6年度に4回開催され、「子どもカルテシステム」構築などの議論を行いました。 区の基本的な考え方として、インクルーシブ教育は障害の有無・国籍・言語・経済状況に関わらず、全ての子どもが共に学び合う教育を目指しています。 そのうえで、個々のニーズに応じた合理的配慮を行いながら、最終的には共に学ぶ教育環境を整備していくことを重視しています。 「分離」を目的とするのではなく、むしろ多様な環境を通じて子どもたちの学びを支える段階的な取組みと位置づけています。
富山委員の提案・指摘:
富山委員は、支援学級(はくちょう教室・ぴかいち・SSRなど)によって学びやすい環境が整備されつつある一方、 それが「インクルーシブ教育ではなくなる」側面にも注意すべきと指摘。 「学校生活では分離してもよいと学んでしまうと、社会に出た後のインクルーシブ理解が育たない」と懸念を示しました。 その上で、福祉部の障害者サポーター養成講座や支援学級と普通級の交流学習、有識者による講座などを活用し、 相互理解を育てる教育機会の拡充を求めました。 区は「早期からのインクルーシブ教育の意識啓発は重要」として、有識者の知見も取り入れながら議論を深めていく方針を示しました。
■ 障害者就労支援と企業との連携強化
問:
障害者雇用率の法定目標(令和8年度までに2.7%)に対し、全国的な達成率が依然46%程度にとどまる中、 千代田区の雇用促進援助事業の執行率が低い理由と、今後の就労支援の取組み強化策について伺いました。 また、企業向け説明会やジョブコーチ制度の活用、超短時間雇用の推進などの現状についても問いました。
答弁:
執行率が低かった要因は、国の独立行政法人(高齢・障害・求職者雇用支援機構)の制度と内容が重複していたため。 区はEBPM(根拠に基づく政策立案)の観点から事業を精査し、重複を整理して改善を進めています。 また、就労支援センターは6名体制に強化され、企業向け「地域交流会」を年4回開催。 特に合理的配慮をテーマとした回では70名が参加し、企業の理解と関心が高まっていると報告されました。
区は、ジョブコーチ活用支援や事業所との個別相談を丁寧に行い、初回面談から就職・勤務開始まで相談員が同行支援を実施。 さらに、就労後も合理的配慮の調整など、「伴走型の支援体制」を徹底しています。 富山委員は、「働いてみたい」と思える雰囲気づくりや、超短時間雇用の普及をさらに広げるべきと提案し、 区も「周知と支援の強化を進めていく」と答えました。
■ 神田錦町三丁目福祉施設と周辺道路のバリアフリー整備
問:
錦町三丁目に建設中の高齢者・障害者福祉施設(令和8年度完成予定)に関連して、 周辺道路の安全性やバリアフリー化の整備スケジュールについて伺いました。 特に施設開設後は、車椅子利用者や高齢者の通行が増えることが見込まれるため、施設の開設時期に合わせた道路整備の実施を求めました。
答弁:
神田警察通りのⅡ期工事は、電力設備や信号機移設のため令和8年秋頃の竣工予定。 Ⅲ期工事への着手については、交通管理者から「作業区域間を300m以上離すよう」指導を受けており、Ⅱ期完了までは同時施工できません。 しかし、錦町三丁目施設までの区間は施設竣工に合わせて整備を進めるよう最大限努力すると答弁しました。 区は工程の見直しや施工順序の工夫により、可能な限り早期のバリアフリー整備を進める方針です。
富山委員の指摘:
「規制があるとはいえ、施設完成時には多くの障害者や高齢者が通行する。 安全確保のためには、施設開設までに道路整備を完了してほしい」と重ねて要望しました。 区は「ご指摘を踏まえ、整備工程を精査して早期実現に努める」と応じました。
🟦 富山委員の質疑全体の特徴
富山委員の質疑は、教育・就労・まちづくりの各分野を貫いて、
・「バリアフリー」と「インクルージョン(包摂)」の両立
・一人ひとりの生きづらさに寄り添う現場視点
・支援する側・される側の相互理解を深める社会づくり
を重視しています。
学校教育では「分けない教育」を、就労支援では「働ける選択肢を広げる社会」を、 都市整備では「誰もが安心して移動できる道路・施設環境」を一貫して提案しました。 千代田区が目指すべき真のインクルーシブ社会の方向性を示す内容となっています。
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